日中六人書法展（２００６．５．２０～５．２３） 　　　

行書・白居易詩	篆書『論語』句以友輔仁	行草・洪昇詩	行草・『書譜』節録	行書・百丈禅師句	隷書・林逋詩句	行草・委随
	楷書『般若心経』語無礙

【玄筆２００６年７月号より抜粋】

　５月２０日より２３日まで中国は無錫市博物館を会場に「日中書法六人展」と銘打った展覧会が日本側は私有岡崖、星弘道氏、かなの大石三世子女史の３人、中国側は中国書法家協会刻字委員会副主任の王志安氏、無錫市国画院副院長孫氏、中国美術学院教授陳大中氏の３人といった陣容で無錫市招聘のもとで開催された。

　今回のこの展覧会に至った経緯だが、実は昨年春、私の友人である陳大中氏から今回中国側の三氏による書法展を日本で開きたいのだがと相談があり、何とか各関係の方々の尽力もあって９月に東京は日中友好会館ギャラリーにて三氏が共に無錫も出身である為「太湖の風書法三人展」と名付け開催したことに端を発し、そこで次は無錫で日本側３人にも加わってもらい６人で書法展をやりませんかと持ちかけられ今回の開催に相成った次第である。彼等の日本での展覧会は後援が全日本書道連盟であったことで事務局長の星弘道先生に加わってもらい、また日本固有のかなを中国側に紹介したい旨もあって大石三世子先生にも出品をお願いした。

　我々出品者を含めた３０余名は、５月１８日より２２日まで開幕式にあわせ訪中した。大変な歓迎ぶりと同時に開幕式当日の会場は身動きのとれないほどの参観者で埋めつくされ、中国側が用意していた図録も一時間もたたぬうちになくなってしまったという。また招待宴には、党や市、書法家協会、出版関係、文芸協会、教育関係者等々各界の方々が参加され盛大に宴を設けていただくなど心温まるもてなしを頂戴した。
　日本と中国は悠久の昔より政治、経済、芸術文化といったあらゆる面で深く関係しあってきた。今回の展覧もこうした交流の中の一つとも言える。今後更なる深まりを期待してやまない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　有岡崖

日中六人書法展　訪中記

５月１８日（木)
中国江蘇省無錫市博物館で無錫市文学芸術界連合会・江蘇省書法家協会主催による「日中六人書法展」が開催された。日本側出品者、星弘道先生・有岡崖先生（漢字出品)と大石三世子先生（かな出品)の三先生を筆頭に、各社中の会員を団員として１８日(木）午後３時５分、成田から中国国際航空で上海へ向け出発した。この日は、中国もあいにくの雨。上海浦東空港から専用バスで宿泊地無錫・錫州花園酒店へ移動し、夕食後チェックイン－初日の日程を終えた。

５月１９日(金)
中国側出品者、王志安先生・孫先生・陳大中先生と共に終日観光。霊山景区で、無錫大仏を参観した。昼食後、茶道の祖（茶仙）といわれた唐代の文人陸羽が「天下第二泉」と鑑定した泉のある錫恵公園の造園美に触れ、心和む一時を過ごした。更に移動を重ね、恵山泥人形製作工場を見学、泥人形は４００年近い歴史をもち、恵山山麓の良質な粘土を用いて、歴史人物の人形から歌舞の模様、動物、毛沢東など様々なものをひとつひとつ手作りの作業が行われていた。夕食は、無錫国画院との交流宴で中国側来賓を交えての宴席が設けられた。

５月２０日(土)
午前９時ホテルを出発し、今回訪中の目的地である無錫市博物館へ。午前１０時開幕式に臨んだ。主催者を代表し、無錫市人民代表常務委員会副主任王金大氏の挨拶、日本側から星弘道先生の挨拶があり、出品者６名と来賓によるテープカットで華々しく開幕した。会場には、一作家６～８点で計４７点の作品が陳列されているものの、観客で埋めつくされ、一点一点鑑賞することが難しいほどの盛況であった。暫しの参観の後、博物館正面で記念撮影をして、展覧会の祝賀懇親会場（山明水秀大酒店)へ向った。会場は、日中双方でおよそ百名着席し、無錫政府・書法家協会・出品者等がメインテーブルにつき、中国側は無錫市常務委員王立人氏、無錫市人民政府副市長麻建国氏、日本側からは有岡崖先生の挨拶で開宴された。宴半ばで中国側の歌手による「無錫旅情」の歌の披露・オペラなどの歓迎を受け大いに賑わい、両国書法文化交流が一層深まる宴となった。午後は、太湖頭渚の美観に触れ、錫州花園酒吉へもどった。夕食も同ホテルで、中国書法家協会幹部、無錫政府との交流宴。終日中国側の歓待をうける一日となった。


テープカット風景	会場風景

５月２１日(日)
午前７時半、専用バスでホテルを出発し、善巻洞の参観、洞を抜けるとロープウェイで山上の禅国山碑(天紀元年、西暦２７７）を見学し昼食をとった。午後は、宣興紫砂工場で茶壷の製作を見学した。我々団員も、この見学に際して茶壷に各々字入れしオリジナルの作品製作に挑戦したものをあずけておいたので、その仕上りを楽しみにするとともに、一層関心の高まる見学会となった。更にバスで移動し、「竹海」で喫茶休憩をとった。２日目から連日晴天に恵まれたものの湿度が高く、やや蒸し暑く感じる毎日での観光であったため、この竹林でのひと時は、涼しく快適な空間を満喫する至福の時間となった。無錫へもどり、最後の晩餐の後、団員はホテルヘもどり、出品者と若干名の団員で出品作家の孫先生の書斎に招かれ、孫先生夫人の手作り料理でもてなされた。広いアトリエのリビングには卓球台があり、小宴準備の間、王志安先生、孫先生に対し、星先生、有岡先生が相手となり、暫し卓球を楽しんだ。将に民間ピンポン外交ならぬ和やかな光景であった。


善巻洞（鍾乳洞）内景	宣興紫砂作壷風景	禅国山碑見学風景

５月２２日(月）
宿泊ホテルをチェックアウトし、バスで上海浦東に向って移動。１５時３０分中国国際空港で帰国の途についた。今回の書法展、各所観光にあたっては、無錫在住の孫先生を中心に江蘇省中書協・無錫市文連の先生方、また無錫国画院の熱烈な歓迎のおかげで、私たち訪中団は、大変な感激のうちに帰国することができた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　－石川圭一記－

【日中六人書法展関係機関】

主催　無錫市文学芸術界連合会・江蘇省書法家協会
協賛　無錫市国画院・無錫博物館
後援　日本国駐上海総領事館・（社）全日本書道連盟・（社）日中協会・（社）日中友好協会・日本中国文化交流協会
　　　　中国書法家協会組織部・無錫市外事弁公室・江蘇省書法家協会・「書法」雑誌